対話式算数の教材の中身(4年生)

前回の対話式算数の続きで、今回は教材の中身を紹介します。

では、1回分はどのような構成になっているのでしょうか?
4年生のものしか分かりませんので、この感触を書きたいと思います。
サピックスにいた先生だと言うことで、他の大手塾に比べるとサピックスが一番良いと思っているようです。
ですので、この教材もサピックスに似たところがあります。

本編の解説、10問程度の問題とその数値替えの問題が10問(+α)ぐらいです。これが1話となっています。
○本編(総じて先生と茶くま君との会話で解説している)
○練習問題(大体10〜15問程度。2〜3ページ)
○練習問題の解答解説(練習問題の1.5〜2倍程度のページ数)
○数値変え問題(練習問題と同じ形式で数字だけ変わっている。答えのみ。解説はなし)
本編の解説がこの教材の売りで、「対話式」と言っていますが生徒と先生が会話をして学習していきます。こういうのを対話式というのかどうかとても疑問ですが、先生と生徒が対話をして問題を解いていくというスタイルではありません。基本的には一方的な先生の話があるだけです。(外国のアクティブラーニング的なものとは全く異なります)

○本編

子供の頃、こういう会話で説明していく本(参考書)って(ウザい感じがして)読みにくくて好きではなかったのですが、
子供に教えるとなると、やりやすいと感じます。
しかし、その分、長く感じます。
内容は多少脱線もしてくれて、雑学も入り、
解き方だけではなくベースとなる考え方も入りますので、
(ちょっとだけ基礎となる背景も説明している点で)教科書的で良いと思います。

ただ、本質的なところまで解説してあるかというとそうでもないのです。
小学生ですし、目標は受験ですから、この程度が良いのかと思います。
この本編の例題は、とても基礎的な問題を取り扱っています。
より発展的な問題は練習問題の後半に収録してあり、解きながら学ぶ形になります。

あとにも書きますが、例題は一回読むのを止めて自力で解いた方が良いのかもしれませんが、
なかなかそうなりません。どんどん読み進んでしまいます。
これは、1回分の長さがある程度あるからだと思います。
やり方としては一度例題を解説され、すぐに例題の数値変え問題でもやるとわかりやすいのではないかなと思います。

○練習問題

2つの問題集がついていますが、その一つ目です。

大体10問強。この単元の典型題を網羅していると思いますが、
4年生向けの難度のようにも見えますが、4年生にとって簡単ではありません。
実際の入試問題を使っているわけではないのですが、一番初めの小問や中堅どころのレベルはあると思います。

また、問題数は基礎的な問題も当然ありますが、一般的な参考書(問題集)に比べると多く、塾のテキスト並です。ただ、同じ問題をもう少し解かないと定着しないと思います。少し1話に盛り込みすぎな感じはあります。特に塾に行かない子を対象にしているので、もう少し練習問題で仕上げていく必要はあるかと思います。つまり、本編を読んで分かったとしても、問題を解けるようになるためには、自宅学習では問題を解くしかないと思いました。

塾で習うような解法がありますので、その分は利点です。しかしそういう参考書は、安く多数あると思います。

この練習問題は本編の例題には扱われていない少し高度な問題になっているので、ある程度応用力がないと解けません。
対話式の本編で、この練習問題の解法をすべて教えるというスタイルでないのは少し残念な感じもしました。

この教材で学習していくと、肝心の応用問題を独自に考えてしまうと思います。
思考力を養いのでしたら、先に解法を教えてもらうよりは良いと思っていますが、大抵そんな簡単に解けません。

下手に間違った解法で、覚えてしまうより先に解法を学んだ方が良いというなら、(Sapixがこの考え方ですよね)
解法を見てから時直した方が良いかもしれません。

子供は解ければ良い、正解なら良いと思ってしまいがちですから、注意が必要です。
一度考えた方法から抜け出せなくなることってよくあります。
教えたあとも、次にやるとまた間違ったやり方で解いて間違っています。4年生には荷が重すぎる傾向にあると思います。(難関校を狙う子向けとしています)
本編を読むのもある程度時間がかかりますので、
この時点で問題の解き方を解説してあるほうが良いかもしれません。

○数値変え問題

2つは1つめの練習問題の数値変え問題です。
1つ目とほぼ同じ問題ですが、数値が変わっています。(解法は同じで数字だけが違っている)
サピックスでは、全く同じ問題が復習用に用意されているのと比べ良いと思います。

数値替えの問題があるおかげで定着力を高められますが、
2回の問題では、定着させることは難しく、
最低でも3回は解かないと記憶に残っていかないと思いました。
特に間違った問題は、丁寧にやり方を教えても2回目も間違います。
しかしPDFなので、また印刷すれば良く、この復習はとてもやりやすいです。
この点は塾のテキストより遙かに使い勝手が良いです。(ただし何回も解き直しが出来ればですが、、、)

この問題集で、ある程度の典型題は網羅しているようです。
難易度もそれほど低くはないので、子供によってはかなり厳しいと思います。
また、問題に難易度が書いてないのは良いのですが、解答の方には載っていてほしいです。
やはり自宅学習なので、この時点でどのくらい出来ていたら良いのかとても不安になります。

○解説について

この問題の解説に関しては、不親切ではないですが、
最近の解説が詳しいと評判の問題集に比べると若干あっさりしています。
本編の対話式は丁寧に説明がありますが、練習問題の方が難しいので、
こちらの解説の方が重要だと思います。

親が分かれば、問題ないと思いますが、子供だけで理解するとなると厳しいかもしれません。
また、出来ればヒントを出して解けるようにというステップがあっても良いと思いますが、
本編のどこを参照すれば良いのかなども記されていません。(参照箇所が記されている問題集はたくさんあります)
解説がわかりやすいと評判と宣伝してありますが、
最近ではより詳しい参考書も大変多くなり、普通ぐらいと言えるでしょう。
今や解説がわかりやすいのは普通になってきています。

また、数値替えの方は答えのみ記載されています。
初めの問題と数値替えの問題が必ず1:1になっていれば良いと思うのですが、必ずしもそうではありません。
例えば、練習問題の方が11問なのに数値変え問題の方が10問という場合もあります。
通常、これで問題ないのですが、子供というのは思ってもみたいところで分からなくなってしまう場合があります。
はまってしまうと、数字が違うだけでよく分からないとなってしまうことがあります。

致命的な欠点は、まれですが解答に間違いあると言うことです。
もちろん問題数から比べると多くはありません。
しかし正誤表は公表されておらず、
PDFなのですぐに直して改訂版を出せば良いと思うのですが、
毎回掲示板で質問してくれというスタンスです。

とても時間がかかるし、不効率だと感じます。
だれも解答のほうが間違っていると思っていませんから、とても悩みます。
その時間の無駄は大きいと思います。
問題と解答は、この教材の魂だと思うのですが、
こんな扱いをしている作者には大きな疑問を感じます。

この部分だけでも、どんなに教材が良かったとしてもやめたほうがいいと感じてしまいます。

○教材のダウンロード

実は一番最初にびっくりしたのは、教材のダウンロード方法です。
一括で購入したのですが、
届いたメールには、
1話から最終話までのリストとダウンロード用のパスワード。
すべて違うのです!!
一括なので、一括ダウンロード出来ないというのが驚きです。
50回も同じようなことの繰り返しをする羽目になります。
しかも毎回パスワードのコピー&ペーストも必要なんです。

○サポートについて

サポートもブログなどで言っているほどではなく、メールで質問しても返事がないときもありました。(多分売ることしか考えていないのだと想像出来ますが、100歩譲っても、何か勘違いしているように感じます)
ただの問題集として考えると4年生はチョイスがないので良いと思いますが、
5年以降はたくさん問題集もありますから、そういうのをあたっても良いかもしれません。
1年分のカリキュラムを組んであるので、ペースがつかみやすいと思いますが、
他にも通信講座を利用する方法もあります。

ただし、受験は算数だけではなく国語、理科、社会もあります。
これらをすべて別のところから探すつもりでしたら良いでしょう。
四谷大塚の通信教育、Z会のような中学受験で実績を上げ、質問の電話も受け付けているところもありますし、
ネットで動画で授業を見れるところもあります。

このように検討すると、ブログの内容に参考になる部分が多かったとしても、選びにくい教材であるなと感じています。

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