毎年、何らかの研究報告があり、子供の読解力が低下している、もしくは思考力が落ちているという話があります。さらにそれを見た人やメディアが騒ぎ、常に誰かが発信しているという感じなので、「そうか、子供の読解力が低下しているのか。なんとかしなければ!」って思いますよね。
ネットで検索すると、よく見るのが、
国立情報学研究所の新井紀子教授のリーディングスキルテストの研究で、
「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」
この2つの文が同じ意味かという設問で、
「同じ」と誤答した中学生は約43%を占め、高校生でも約28%が間違えた。
という話。
「メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国選手以外の出身の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国が最も多くおよそ35%である。」
そして、4つの円グラフが提示され、回答をするというもの。
正答率は中学生12%、高校生28%と言う結果が出ています。
その他にも、答えが質問中に出ているのに、解答できないというような設問もあったかと思います。
まあ、確かに読解力の問題で、知識を問うものではありません。
しかし、小学生のカラーテストから大学入試まで、大抵の選択問題は、この手の引っかけ問題が必ず含まれていることが多いのです。
逆に言うと知識を問うているのに、読解力を試されているような設問というのは、昔からあり、だから「引っかけ問題」と言われているのです。(昔から、こういう間違いをする人はたくさんいました)
なので、このテストの結果を見て読解力が低下しているというのは、センセーショナルに扱われすぎで、人の能力なんてそんなものじゃないでしょうか?と言わせていただきたいのです。
この手の記事を見て騒いでいる人も、思考力を養ってもらいたいと考えているのは、ここからです。
近年は記述重視になり、選択問題が減ってきています。
ということは、記述問題は自分が書けば良いだけですので、引っかけのような問題に出会う回数が減っているとも考えられます。
また、こういう能力は精読という分野になり、大量の文章をサクッと読むと、この程度の間違いは生じてしまいます。自分の中の常識と見比べてみて、「?」と思うところをしっかり読んでみるという作業になるでしょう。
単に訓練の差だけなのではないかと感じています。初めの問題が、2つの文章どこが間違っていますか?という質問であれば、たぶん正解できる人はもっと増えるのではないかと思います。
こういった調査結果を基に右往左往するのではなく、今後に向け、どのような能力が子供の将来に必要なのか、そこを論じてほしいと思います。